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2018年08月21日 (火)コラム

「多様な働き方」とは

皆さんこんにちは。HRプラス社会保険労務士法人の甲斐です。暦の上では秋になりましたが、まだまだ暑い日が続きそうですね。

さて、今回は、「多様な働き方」について書きたいと思います。この「多様な働き方」という言葉、耳にする機会が、最近ますます増えてきたように思います。
なぜ今、「多様な働き方」に注目が集まっているのでしょう。

今日の日本は、少子高齢化、人口減少、AIの台頭などにより、生活環境だけでなく労働環境を取り巻く状況も大きく変化しました。しかし、私たちのライフイベントである結婚、出産、介護などに対応できる労働環境の整備は、期待ほどは進んでいないのが現状です。また、女性の社会進出が謳われていますが、育児・介護等の担い手のほとんどは女性であり、その離職率の高さも問題視されています。この点からも、誰もが安心して、個々が自律的に働き方を選び、ワークライフバランスを重視した働き方は、必要不可欠なものとなっていると言えます。仮に今、就職先を探すことになったら、重要視するものの中に、「働き方」を加える方も多いのではないでしょうか。

では具体的に、「多様な働き方」には、どのようなものがあるのでしょうか。ここからは、具体例の一つとして、“多様な正社員”について見ていきたいと思います。
多様な正社員とは、いわゆる従来からの正社員と比べ、転勤や仕事の内容、勤務時間といったものの範囲が限定されている正社員を言います。限定の範囲は、勤務地、勤務時間、仕事内容に分類することができ、企業によってはこれらを組み合わせた勤務形態もあるようです。

【多様な正社員の例】
●地域限定社員
転勤するエリアが限定されていたり、引っ越しを伴う転勤がない、あるいは転勤が一切無い。

●職務限定社員
担当する職務内容や仕事の範囲が、他の業務と明確に区別され、限定されている正社員。

●勤務時間限定正社員
所定労働時間がフルタイムでない、あるいは残業が免除されている正社員。

●従来通りの正社員
勤務地、職務、勤務時間がいずれも限定されていない正社員。

 

これまで「正社員」というと、

①労働契約の期間の定めが無い
②所定労働時間がフルタイムである
③直接雇用

が一般的でした。そして今でも、こういった正社員の方々は多くいらっしゃいます。そのため、働く場所や時間、職種などを限定して働きたい人は、非正規労働者となる場合がほとんどでした。

しかし、限定部分を除いて正社員とほぼ同様の待遇を受けることが期待できる、多様な正社員としての働き方は、雇用の安定と大きな安心感につながります。また、多様な正社員としての働き方を導入することによって、これまで出産、育児、介護といったライフイベントで仕事を離れざるを得なかった労働者も、家庭と仕事を両立させながら働くことができ、労働者にとっては大きなメリットと言えます。企業側にとっても、社員のニーズに合わせた働き方を実現させることで人材活用を促し、ワークライフバランスを実現することで多様な人材を採用することができ、人材の流出にも歯止めをかけることができるでしょう。

ただし、これまでの正社員と異なる部分を持つ多様な正社員を活用する場合には、トラブルの発生が無いよう、事前に就業規則や労働契約書等をしっかりと整備し、お互いに合意した上で活用することが大切です。

参照:tayou‐jinkatsu.mhlw.go.jp

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