コラム

コラム 詳細

2014年02月17日 (月)人事労務

退職勧奨が有効とされた裁判例(プレナス事件 H25.6.5判決)

退職・解雇などをテーマに全国各地で講演させて頂く機会が多くあります。その中でも特に力説しているのが「退職の勧奨」についてです。退職の勧奨は、退職の合意を形成するためのプロセスですからトラブルになりづらい上、解雇予告も不要であるなど使用者にとってメリットを特に享受できるスキームだといえます。

しかし、退職の勧奨には、民法上の錯誤、強迫、詐欺などの不法行為が認められることがあり、錯誤を理由として使用者側が敗訴した代表的な判例に「下関商業高校事件(最一小判昭55.7.10)」などがあります。

錯誤、強迫、詐欺に当たらないためには、
①所定労働時間内に
②会社施設内において
③複数(2名程度)で対応する
ことで回避できるといわれています。

これに加えて、昨年東京地裁で判決があった「プレナス事件(東京地裁平25.6.5)」では、次のような理由によって退職の勧奨が有効であるとされ、原告(労働者)の請求を棄却しています。

①原告の退職願を提出することに至った動機が曖昧で明らかでない。
②被告は退職勧奨に応じなかった場合の処遇等に関して何ら言及していない。
③仮に原告が主張のような錯誤に基づき退職の意思表示をしたとしてもこれは動機の錯誤であり、これが表示されていたことは一切伺いしれないため退職の意思表示につき要素の錯誤があっととはいえない。
④1週間以上の考慮期間があり、この期間に原告は労働局に相談し安易に退職届を出さないよう指導を受け、また退職事由について会社都合としたいなど具体的な要求をしている。

これらによって退職の勧奨が認められたわけですが、特に注目すべきは③で、動機の錯誤に過ぎず要素の錯誤ではないと断じていることです。簡単にいえば、勘違いして退職願は提出したけれども退職の意思表示についてまだ勘違いしていたわけではない、といったところでしょうか。つまり「もともと辞めるつもりだったんでしょ!?」ということですね。④の行為をみてもそれは明らかです。

この判断基準はとても重要です。退職の勧奨の現場では意外と「だったら基本手当が早く貰えるように配慮してくださいね」というやり取りがあることが多々あるからです。

合意退職に至っても後々これを根こそぎひっくり返すようなことも少なくありませんから、面談のやり取りはシッカリと議事録としてまとめておくことが必要でしょう。

ページトップへ戻る