コラム
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- 2014年10月05日 (日)人事労務
人事労務管理に関するIPO上の基本的な3つの視点
新日本有限責任監査法人主催の「EYCベンチャーアカデミー」に登壇し、IPOのアーリーステージ企業向けにもお話したことがありますが、上場申請のための準備に取り組んでいるベンチャー企業が気をつけるべき人事労務の3つの視点があります。
1.組織運営の状況
会社が今後も持続的な成長を続けていく上で、創業社長など特定の個人の力量に依存しない「組織的経営」に耐えうる仕組みができているかどうかが審査される。
2.人事諸規程の整備状況
会社の規程、マニュアル等を審査書類として提出することになります。人事労務管理上の様々な制度が整備され、規程化されているかどうかが審査される。
3.労務コンプライアンスの状況
労働関係諸法令の遵守状況が徹底され、①法令違反、②業績に重大な影響を及ぼす事項の発生、③訴訟の提起と行政処分は、上場を実現するうえで重大な問題となる。
「1.組織運営の状況」については、いわゆる「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅱの部)」の「10.従業員について」の設問にいかに回答していくかが問われることになります。マザーズなど一部の新興市場には「Ⅱの部」が省略されていますが、無いからといって審査が行われないということは全くなく、必ず人事労務の観点から組織的運営が行われているかは問われます。
ポイントとなるのは次の7点です。
(1) 企業グループの人事政策
(2) 最近 3 年間における企業集団の従業員の異動の状況
(3) 出向者の状況
(4) 今後 2 年間における人員計画
(5) 時間外労働及び休日労働の管理方法並びに労使協定の締結状況
(6) 時間外労働の状況
(7) 最近 3 年間及び申請事業年度における労働基準監督署からの調査の状況
「2.人事諸規程の整備状況」については、必要な諸規程を整備することはもちろん、規定と運用がキチンとリンクされているかがカギとなります。
「3.労務コンプライアンスの状況」では、IPOを実現するうえで問題視されることとして、特に次のテーマへの対応が急務です。
(1) 時間外手当の不払い
(2)?パートタイマーの社会保険未加入
(3) 解雇権の濫用法理
(4) 労働条件の不利益変更
(5)?過重労働・長時間労働・セクハラ・パワハラ・メンタルヘルス
とりわけ、ベンチャー企業によく見られる、固定残業代、長時間労働、メンタルヘルスにおけるリスクと対策は一朝一夕に解決できる問題ではありませんので、「N-2」よりも前のフェーズから取り組むことが望ましいといえます。
HR+代表社員の佐藤は上場企業二社の社外役員を現任し、それぞれ東証一部、東証マザーズの上場実現に寄与しました。
HRプラス社会保険労務士法人IPOの実現に向けてCFOやCHROの一助となるべく、労務上での懸念点を整理し対策を講じてまいります。
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