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2014年11月20日 (木)人事労務

仮眠時間の労働時間性を否認する画期的な最高裁判決

ビル管理業や警備業は夜間勤務がつきものですが、仮眠室において8時間の仮眠時間が与えられていても、警報が鳴るなどすれば直ちに所定の業務を行わなければならない場合においては、労働基準法上の労働時間に当たる、という最高裁判決が重くのしかかっていました。(大星ビル管理事件最高裁一小 平14.2.28判決 労判822号5頁)
これはもう、動かざること山の如し、と思われるほどの大変重い最高裁判決ですから、これまでビル管理業や警備業における「仮眠時間」は労働時間に他ならない、という諦めにも似た定説と考えられていたのです。

ところがこの山が動きました。

官公庁のビル管理や警備業務をビソー工業(埼玉)が業務委託された宮城県立がんセンターの警備業務における賃金等請求控訴事件で平成26年8月26日、最高裁は上告を棄却し、仮眠・休憩時間がすべて労働時間であるとの主張を退け、警備員らの請求を棄却したのです。

仙台地裁は警備員らの主張を認め一部時間外労働などの賃金とこれに付帯する利息の支払いを命じる判決を言い渡しましたが、仙台高裁は、仮眠・休憩時間が一般的、原則的に労働時間に当たると認められることはできず、実際に作業に従事した場合の時間外労働として、その時間に相当する未払い賃金を請求することができるに留まるとしました。これを受けて警備員らは上告したが、最高裁はこれを棄却し、高裁判決が確定しました。

担当弁護士は、次の通りコメントしています。

控訴審においてまず留意したいことは、警備員の労働実態をなるべく詳細に明らかにし、仮眠・休憩時間中に実作業に従事する必要性が生じることが皆無に等しい状況であったことを裏付けることであった。
具体的には、警備員の1日の勤務内容(勤務ローテーション)と警備員が主張する仮眠・休憩中の時間外労働の内容を分析し、そもそも仮眠・休憩時間を中断してまで従事する必要があった作業はほとんどないこと、大半の作業は、仮眠・休憩時間の開始、終了前後の時間に行われており、警備員は仮眠・休憩時間を継続して取得し、労働から解放されていること、仮眠時間を中断している場合も、中断してまで行う必要のない業務であったことなどを、87件の事例について詳細に主張したものである。判決では、会社側の詳細の主張について、ほぼその通りに認定され、仮眠・休憩時間中の実作業に従事する必要性が生じることが皆無に等しい状況であったとの結論に至っている。

以上のように会社側の主張が認められたわけですが、この判例は、詳細かつ具体的な事実の積み上げによって山は動くことを教えてくれています。

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