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2015年11月19日 (木)人事労務

資質不良、能力不足を理由とする解雇が有効とされた判例 (海運健康保険組合事件 東京高裁 平27.4.16)

K健康保険組合は、素行不良等が認められる職員の人事上の処分として、就業規則上の解雇事由につき、著しい業務停滞のほか、個人情報の漏えい等の重要な業務上の支障を発生させたと主張し、就業規則所定の「そのたやむを得ない事由があるとき」に該当すると主張しました。

原審は、K健康保険組合の執務支障が、およそ雇用関係を維持することすら相当でないといえるような程度、内容にわたっていたとみることには現状において疑義が残り、現段階で職員を解雇することが社会通念上相当であるとも直ちに認めがたいとして解雇無効の判断をしました。

しかし、高裁においては、職員は、上司の度重なる指導にもかかわらずその勤務姿勢は改善されず、かえって職員の起こした過誤、事務遅滞のため、上司や他の職員のサポートが必要となり、K健康保険組合全体の事務に相当の支障を及ぼす結果となっていたと判断。さらに、K健康保険組合は、解雇に至るまで職員に繰り返し必要な指導をし、また、配置換えを行うなど、職員の雇用を継続させるための努力を尽くしたものとみることができ、K健康保険組合が15名ほどの職員しか有しない小規模事業所であり、その中で公法人として期待された役割を果たす必要があることに照らすと、K健康保険組合が職員に対して解雇通知書を交付した時点で、職員はK健康保険組合の従業員としての必要な資質・能力を欠く状態であり、その改善の見込みも極めて乏しく、K健康保険組合が引き続き職員を雇用することがこんな状況に至っていたと言わざるを得ない。したがって、職員についてはK健康保険組合の就業規則25条7号所定の「その他やむを得ない事由があるとき」に該当する解雇事由があると認めています。

これにより本件解雇は、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められ、有効であるとして、職員の請求はいずれも棄却されました。

能力不足を理由とする解雇は会社にとってハードルは上がりますが、解雇に至るまで就業規則の解雇事由を根拠に繰り返し必要な指導をしてログを残し、配置換えをおこなうことが大切ですね。

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