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2017年01月13日 (金)コラム

雇用保険被保険者の適用拡大について

こんにちは、HRプラス社会保険労務士法人の小髙美希です。

とても大きな話題なのでご存じの方が多いと思いますが、今月より雇用保険の適用対象範囲が拡大されました。
これまで、65歳以降に雇用された労働者は雇用保険の適用除外であり、同一の事業主に65歳以前から引き続いて雇用されている場合のみ、「高年齢継続被保険者」となり、雇用保険の適用となる仕組みでした。
しかし、平成28年3月29日に成立した雇用保険法等の一部を改正する法律により、平成29年1月1日以降は、65歳以上の労働者も『高年齢被保険者』として雇用保険の適用対象となります。

■適用拡大の背景
平成28年版高齢社会白書によると、60歳以上で就労を希望する高齢者の割合は71.9%となっており、内28.9%もの方が「働けるうちはいつまでも」と回答しています。
全産業の雇用者数の推移をみると、平成27(2015)年は65歳以上の雇用者数が60~64歳の雇用者数を初めて上回りました(60~64歳雇用者:438万人、65歳以上雇用者:458万人)。
また、65歳以上の雇用者は年々増加傾向にあり、65歳以上の人口あたり13.5%が雇用されていることがわかりました。
このような状況を鑑みて、今回の改正は65歳以上の高年齢者の雇用が一層推進されることを目的としています。

 
■適用範囲について
適用条件(1週間の所定労働日数が20時間であり、31日以上の雇用見込みがあること)を満たす65歳以上の労働者すべてが対象となり、資格取得の手続きが必要となります。
①平成29年1月1日以降に新たに65歳以上の労働者を雇用した場合
→被保険者となった日の翌月10日までに資格取得届を提出します。
②平成28年12月末日までに65歳以上の労働者を雇用し、平成29年1月1日以降も継続して雇用する場合
→平成29年3月31日までに資格取得届を提出します。
③平成28年12月末日時点で高年齢継続被保険者である労働者を平成29年1月1日以降も継続雇用する場合
→自動的に「高年齢被保険者」へ変更がされますので届出は不要です。
特に②の労働者は注意が必要です。シニア層の多い会社は届け出漏れのないよう、早めに対象者のチェックをしておくと安心です

■保険料はどうなるの?
現在、毎年4月1日時点で満64歳以上の労働者については、雇用保険料が免除されていますが、施行日以降は免除制度が廃止され、保険料が徴収されることになります。
ですが、急な廃止は会社への負担も大きくなるため、経過措置が設けられ、施行予定日は4年後の平成32年4月1日となります。

■各種給付の権利もある
平成29年1月1日以降、高年齢被保険者も、受給要件を満たせば各給付金を受け取ることができます。
離職した場合は、高年齢求職者給付金を年金と併給可能で受け取ることができ、必要に応じて教育訓練給付金、育児休業給付金、介護休業給付金などの給付も受けとることができます。

■おわりに
健康保険のことは多くの方がご存知ですが、労災保険のことは知らない方が意外と多いです。
日本の高齢者の就労意識は高く、就労率も主要国の中では断トツです。
これが日本人特有の勤勉さからくるものなのか、生活の安定のためなのか判断は難しいですが、高齢者の雇用維持の実現は急務です。
今回の改正はその対策のひとつではないでしょうか。
数年後、高齢者の雇用環境はどのように変わるのか、興味深いところです。

 

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