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2017年01月30日 (月)コラム

新ガイドラインが公開「労働時間の適正な把握のために、使用者が講ずべき措置」

こんにちは。HRプラス社会保険労務士法人の堀越です。
昨年末に厚生労働省より「過労死等ゼロ」緊急対策が打ち出されました。
対策の実施に伴い、「労働時間の適正な把握のために必要な使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」が新しく公表されましたので、その内容についてお話させていただきます。

「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」は、使用者が適正な労働時間を把握するために具体的な基準(始業・終業時刻の確認・記録の方法や自己申告制をとる場合の措置など)を示したものです。
今回、以下の点が変更となりました。

■「労働時間の考え方」を追加
従前のガイドラインでは、労働時間とはどういった時間を指すのかは触れていませんでしたが、今回詳細に説明の上追加しています。
「労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、使用者の明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる」とし、使用者の黙示の指示による労働も労働時間であると明確化しています。
黙示の指示とは例えば、
・残業は許可制をとっている会社で、申請をしないで残業を行っている状態を会社が把握しているが黙認している場合
・業務の都合上残業をしないと納期に間に合わない状態の為、残業をしているが会社からは残業命令がない場合
など、具体的に会社は指示を出していないけれど実態は指示していると認められる場合を指します。
ガイドラインでは、具体的に労働時間として扱うべき時間として3つあげています。

1)使用者の指示により、就業を命じられた業務に必要な準備行為(着用を義務付けられた所定の服装への着替え等)や業務終了後の業務に関連した後始末(清掃等)を事業場内で行った時間
2)使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間(いわゆる「手待時間」)
3)参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間

また、指揮命令下に置かれていると評価される時間についても労働時間として取り扱うこととし、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんによらず、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものとされ、労働者の行為が使用者から義務付けられ、またはこれを余儀なくされていた等の状況の有無等から、個別具体的に判断されるとしています。

■自己申告制の管理について、詳細な説明を追加
自己申告制による時間管理については、より具体的に詳細に内容を定めています。
従来は労務管理を行う部署の責任者に対して適正な管理を求めていましたが、今回実際に労働者を管理する者に対しても適正な運用を求めています。

また、従来は自己申告した労働時間と実際の労働時間とが合致しているか否かについて必要に応じて実態調査をすることとしていましたが、今回は実態調査を実施の上、所要の労働時間の補正をすることまでを課してします。
入退場記録やパソコンの使用時間の記録など事業場内にいた時間のわかるデータを有していた場合には、労働者からの自己申告により把握した労働時間と当該データで分かった事業場内にいた時間との間に著しい乖離が生じているときは、実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすることとされており、在社時間と申告時間との間に著しい乖離がないかを在社時間がわかる場合においては、通常からチェックするように求められているように読み取れます。

実態に沿った労働時間を把握するために下記の内容も追加されております。
・自己申告した労働時間を超えて事業場内にいる時間について、その理由等を労働者に報告させる場合には、実際には、使用者の指示により業務に従事しているなど使用者の指揮命令下に置かれていたと認められる時間については、労働時間として扱わなければならないこと。
・労働基準法の定める法定労働時間や時間外労働に関する労使協定(いわゆる36協定)により延長することができる時間数を遵守することは当然であるが、実際には延長することができる時間数を超えて労働しているにも関わらず、記録上これを守っているようにすることが、実際に労働時間を管理する者や労働者等において、慣習的に行われていないかについても確認すること。


■賃金台帳の適正な調製を追加
労働日数、労働時間数、休日労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数を賃金台帳に記載しなければならないことは労働基準法第108条及び施行規則第54条により元々定められていますが、今回ガイドラインに追加されています。罰則についても触れており(30万円以下の罰金)、賃金台帳に記載しているか否かを再度確認が必要です。

■おわりに
今後は、今回のガイドラインに沿った監督・指導が行われることが予想されます。
今一度、労働時間として把握している時間の範囲が適正かどうか、把握方法についても実態をカバーできているのかなど見直しをされることをお勧めします。

 

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