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2017年07月28日 (金)コラム

海外赴任者の海外渡航準備~引っ越し編~

こんにちは。HRプラス社会保険労務士法人の三枝です。
今回は、海外赴任者の渡航準備(引越)について紹介したいと思います。
海外に長期赴任する従業員の方を送りだす時に、必ずついて回るものが引越です。
この引越について、会社としてルールを整えておかないと人事異動に際して、費用が大きく増えるリスクがあることを認識しましょう。


■どれだけの荷物量を出せるのかの上限のルール化を!
海外引越は国内引越と違い、発送先の地域にもよりますが、家族帯同での移動となると、運送会社に依頼した場合、金額が運賃だけで100万円を超えることも珍しくありません。会社、従業員側双方に大きな負担を強いるものですので、具体的にどれくらいの物量を運べるのかの規程として定めておくことが重要です。

※運送物量の上限の定め方について
・船便について
別送品引越貨物については、多くの場合、船に載せるコンテナ1本分の量に満たないことが多く、混載と呼ばれる方法が採られます。この混載を行う時、他の依頼者の荷物と混ざらないように、かつ、船揺れの衝撃や荷崩れ防止のため、実際に引き取った荷物の外側から更に大きな梱包(外装梱包)をする必要があります。船便の輸送運賃は、この外装梱包をした状態で計算されます。

ルールとして定める時には、外装梱包をした時で荷量上限を定めるほうがよいでしょう。
形の揃った段ボール箱の送付を行うだけでも、実際の引取量と外装梱包後の物量を比較すると25%前後大きく膨らみます。サーフィンボードやスノーボードなど、形が歪なものを入れると40~50%程度物量が膨らむこともありますので、人事異動の予算との乖離を防ぐためにも、外装梱包後の物量でどれくらいまでと定めた方がリスクヘッジしやすいです。

・航空便について
航空便においては、実重量の他に、容積重量というものがあります。
荷物の大きさ(たて【cm】)×(よこ【cm】)×(高さ【cm】)÷5000ないし6000で計上した数値と、実重量を比較して重たい方の数値が運賃に反映される仕組みになっているため、こちらも容積重量で制限を加える方がベターです。
また、荷物を発送する際に、船荷証券が発行されますが、併せて損害保険に加入する形になりますので、この費用についても発生することを認識する必要があります。

■荷物を発送するときの注意
船便の多くについては、運送にかかる時間は1か月~2か月程度、航空便は2週間程度という形ですが、国内輸送と違い、海外輸送においては、赴任者本人が就労許可や長期居住要件を満たしたビザを所持し、ビザ所持者本人が入国をしないと引越荷物を通関できない国もあります。
入国予定と荷物が到着する日が大きく乖離すると、荷物はそれぞれの渡航先国の保税倉庫に送られます。この保税倉庫は各運送会社が経営するものではなく、それぞれの国の税関で運営されているため、1~2週間荷物を保税倉庫に入れただけで数十万円追加請求されることもありますので、渡航スケジュールと荷出し日の調整が必要となります。

各国の通関に関する法の定めによりますが、シンガポールや中国のような国では、免税措置が適用される(または一部適用される)引越荷物の通関を航空便・船便併せて1回しか認めず、2回目以降の通関は、商業荷物と同じように全量課税して通関をするような国もあります。
このような国の場合は、船便の渡航先国の入港日、航空便の荷物の空港到着日、本人の入国日、就労ビザや長期滞在ビザが下りる日を考慮する必要があります。要件を満たせない場合、関税支払をしなければならないこともあるので、注意が必要です。
関税が発生すると、数十万円単位で請求されることもありますので、関税が発生した場合、その負担についても事業主負担と従業員負担でもめる原因となるので、渡航先国の事情を勘案し、どのようにするのか取り決めをしておいた方が良いでしょう。

■通関時のトラブル例
□医薬品:日本では認められている医薬品が海外の薬事法に抵触し没収されるケース
□食料品:あまりに同じ品物を送りすぎて、全量課税通関となるケースや相手国の法律により所持が禁止されている食料品を荷物に入れて没収されるケース
→シンガポールでは、医療用のチューイングガムを除き所持自体が禁止されているため、別送品荷物に入れると、税関で開梱検査の上、没収される。
□書物・印刷物:渡航先国の政治体制を取り扱ったものを入れて没収されるケース
→特に中国、ベトナムは反体制的なもの、流血シーンを彷彿とさせるような描写がある書物は没収対象。シンガポールでは共産主義や社会主義に賛同する書物は全面的に輸入禁止措置が取られているため、注意が必要。
□DVD等映像ソフトを荷物入れて、予定通りに荷物が届かないケース
→DVD等映像ソフトは大半の国で、1本1本税関で全量内容検査されるため、通関により一層の時間がかかり、荷物が予定通り届かなくなる)
□衣料品や電化製品で、未開封、値札タグ等を付けたまま大量に送り、商業貨物として課税通関となってしまうケース
→免税での別送品通関を行うためには、個人で使用していたものという制限がかかることがある。どうしても新品の衣料品や電化製品を送りたい場合には、値札やシールを剥がし一度開封をする措置を講じることや、購入した店で免税品として購入したことを証明する書類を作成し、渡航先国で通関書類に添付し、免税品申告を渡航先国の税関ですることが必要。
□仕事で使用する書類を別送貨物に加えて、通関することができなかったり時間がかかったりするケース
→急ぎで使用する書類は、手荷物で持っていくことを念頭に計画をたてることが必要

■おわりに
海外赴任に伴う移動は労使双方に多大な労力と時間、経済的負担を強いるものです。特に、慣れない文化風習に馴染まなければならない従業員側にしてみれば、身の回りの物品を一つでも多く運びたいという心情になることも安易に推察できることと思いますが、無用なトラブルを避けるためにも、海外赴任規程等でルールをしっかりと定めることをおすすめします。

 

 

 

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