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2018年04月11日 (水)コラム

雇用対策法改正案

こんにちは、HRプラス社会保険労務士法人の小髙美希です。
今回は雇用保険とは?シリーズをお休みし、今話題の働き方改革について、基本方針となる雇用対策法の改正案のポイントをお伝えしたいと思います。

■働き方改革関連法案って?
働き方改革関連法案とは、

・雇用対策法
・労働基準法
・労働時間等設定改善法
・労働安全衛生法
・じん肺法
・パートタイム労働法
・労働契約法
・労働者派遣法

の8本の労働法の改正案の総称であり、第196回国会の最重要法案の一つと位置づけられています。

■3つの柱
働き方改革関連法案の内容を示した「働き方改革を推進するための関連法律の整備に関する法律案要綱」には、改正の柱として以下の3点が挙げられています。

①働き方改革の総合的かつ継続的な推進(雇用対策法改正)
働き方改革に係る基本的考え方を明らかにするとともに、改革を総合的かつ継続的に推進するための「基本方針」を定める

②長時間労働の是正と多様で柔軟な働き方の実現等
1)労働時間に関する制度の見直し(労働基準法改正)
2)勤務間インターバル制度の普及促進等(労働時間等設定改善法改正)
3)産業医・産業保健機能の強化(労働安全衛生法、じん肺法改正)

③雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法改正)
1)不合理な待遇差を解消するための規定の整備
2)労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
3)行政による履行確保措置及び裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備

■雇用対策法の改正案
そもそも雇用対策法とはどのような法律なのでしょうか。
雇用対策法は、雇用対策に関わる基本法であり、国の施策の方向性を示すものであります。雇用対策法第4条には、国の講ずべき施策が列挙されており、それを基に職業安定法や職業能力開発促進法、雇用保険法などの個別法において、施策の具体化がされています。
第6章(第28条~30条)には外国人雇用状況届出についての記載もあり、人事労務担当の方には馴染みのある手続きもこの雇用対策法に定められています。

今回の改正案のポイントは以下のとおりです。

○法律名の改正
法律名を「雇用対策法」から「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」に改正

○目的規定等の改正
第1条 目的規定の改正
国が、労働に関し、必要な施策を総合的に講ずることにより、経済社会情勢の変化の中で、労働者がその多様な事情に応じた就業ができるようにすることを通じてその有する能力を有効に発揮することができるようにするとともに、労働生産性の向上を図り、もって労働者の職業の安定及び職業生活の充実並びに経済的社会的地位の向上を図るとともに、経済及び社会の発展並びに完全雇用の達成に資することを法の目的とする。

第3条 基本的理念に追加
労働者は、その職務の内容及び当該職務に必要な能力等の内容が明らかにされ、並びにそれらを踏まえた評価方法に即した能力等の公正な評価及び当該評価に基づく処遇その他の措置が効果的に実施されることにより、その職業の安定及び職業生活の充実が図られるように配慮されるものとすることを加える。

○国の講ずべき施策
第4条 国の施策の改正
上記の目的を達成するために、必要な施策を総合的に講じなければならない事項として、以下の項目が追加となります。(抜粋)
・労働時間の短縮その他の労働条件の改善、多様な就業形態の普及、雇用形態又は就業形態の異なる労働者の間の均衡のとれた待遇の確保等に関する施策を充実すること。
・子の養育・家族介護を行う労働者の職業の安定を図るため、雇用の継続、円滑な再就職の促進するために必要な施策を充実すること。
・傷病の治療を受ける労働者の雇用の継続、雇用管理の改善及び円滑な再就職の促進を図るために必要な施策を充実すること。

○事業主の責務
第6条 事業主の責務に追加
事業主は、その雇用する労働者の労働時間の短縮その他の労働条件の改善、雇用形態又は就業形態の異なる労 働者の間の均衡のとれた待遇の確保その他の労働者が仕事と生活の調和を保ちつつその意欲及び能力に応じて就業することができる環境の整備に努めなければならないことを規定する。

○基本方針の策定 ※新設
・国は、労働者の職業の安定及び職業生活の充実並びに経済的社会的地位の向上を図るための必要な労働に関する施策の基本方針を定めなければならないものとする(閣議決定)。
・基本方針に定める事項は、労働者の職業の安定等を図ることの意義に関する事項、目的を達成するため国が 総合的に講じようとする施策に関する基本的事項等とする。
・厚生労働大臣は、基本方針の案を作成しようとするときは、あらかじめ都道府県知事の意見を求めるとともに、労働政策審議会の意見を聴かなければならない
・国は、労働に関する施策をめぐる経済社会情勢の変化を勘案し、必要があると認めるときは、基本方針を変更する。
・厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、基本方針において定められた施策で、関係行政機関の所管に係るものの実施について、必要な要請をすることができる。

 

改正案のポイントを見てみると、第1章の総則(第1条~10条)、つまり国が事業主に対してどのように働きかけていくかを定めたものが中心となっており、目指すものが大きく2本立てとなっていることがわかります。

①労働者がその多様な事情に応じた就業ができるようにすることを通じてその有する能力を有効に発揮することができるようにすること
②労働生産性の向上

 

先に述べましたが、雇用対策法とは雇用対策に関わる基本法であり、国の施策の基本的な方向性を示すものです。その基本法の目的が変わるということは、今後の労働政策の方向性が変わるということになり、今後の動向からよりいっそう目が離せません。

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