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2018年04月11日 (水)コラム

海外赴任者と社会保障協定について

HRプラス社会保険労務士法人の三枝です。

ビジネスの国際化に伴い、海外赴任者の社会保険について、赴任先国と日本との間で協定が結ばれている国との間で、社会保険料の二重払い防止や年金加入期間の通算といった措置が徐々に講じられています。今回は、社会保障協定の概要についてご紹介したいと思います。

■海外赴任者を出す時に、赴任先国と日本との間で社会保障協定があるかを確認しましょう。

まず、海外赴任者を出す時には、赴任先国と日本との間で社会保障協定が結ばれているかの確認を行いましょう。協定が結ばれている国との間では、日本と赴任先国との間で年金期間の通算であったり、赴任先国側での公的医療保険料の免除、社会保険料の支払免除であったりと様々な取り決めが行われています。
協定の内容は一律と言うわけではなく、国ごとに別々の取り決めがなされていますので、赴任者を出す先の国との協定内容の確認も必要となります。

例えば、社会保障協定が既に発効しているイギリスの場合は、公的年金保険料の免除を行い、それぞれの年金加入期間を通算しないといった条件を課している国もあります(年金支給を受けるために必要な加入期間が日本10年、イギリス1年と要件が著しく相違するため)。加入期間に応じて、それぞれの国から年金の支給を受けるシステムを取ります。
また、ベルギーやフランスなど、日本と似た社会保障システムがある国では、公的年金保険の年金加入期間の通算、公的医療保険、公的年金制度を含め相互に免除する協定を結んでいる国もあります。

社会保障協定の締結、発効がなされていない国に於いては、日本の社会保険に加入しつつ、相手国の社会保険にも加入しなければならない国々もあります。

多くの日本人が赴任している中華人民共和国を例に挙げると、日本からの在籍出向の場合、日本側の社会保険料を納めつつ、中国側での社会保険料の納付義務も発生します。しかし、短期間の一過性の赴任であると、中国側の年金は掛け捨てとなることになります。

■海外赴任者を出す期間と在籍先について注意をしましょう。

社会保障協定を締結発効している先の国へ赴任する時、日本の企業から、海外に5年以内の期限を定めて一時的に在籍出向で海外赴任する場合に所定の手続を行うと赴任先国での公的年金保険料、健康保険料の支払免除、日本側でのみ支払うという形になります。5年を超える期間、日本の会社に籍を置いたまま海外子会社等に在籍出向する場合、日本側の会社に在籍を置かず、海外子会社に就職または転籍出向する場合には、この制度を利用することはできません。

■社会保障協定を締結・発効している国へ赴任する前にすることは?

社会保障協定を締結・発効している国へ赴任する前に、相手先国での公的年金保険料等の免除を受けようとする時には、出国前に、日本年金機構から社会保障協定適用証明書を受ける必要があります。家族帯同で海外に赴任される方の場合、日本年金機構から被扶養随伴者の証明も併せて取得することを要する国もありますので、留意する必要があります。
自営業者の方でも、日本国籍を持つ国民年金第1号被保険者(被保険者ご自身で国民年金保険料を納付されている方)で5年以内の期間を定めて海外で事業を行う場合であれば、出国前に、国民年金任意継続加入の届出を各市区町村の国民年金課等の窓口で行い、社会保障協定適用証明書を受けると、相手先国での公的年金保険料等の免除を受けることが出来る場合があります。

■まとめ

海外赴任者の方が、どのような社会保障を受けられるのか、将来受け取る年金にはどのような影響があるのか、医療費の扱いはどうなるのかということは、社会保障協定の有無、海外での在住期間、在籍している会社の国が赴任先国なのか日本なのかによって大きく左右されます。
海外赴任者を出す際には、今一度、年金・健康保険の手続で出国する前にすべきことがないかの確認を是非してみて下さい。

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