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2018年05月09日 (水)コラム

妊娠・出産に関する労働法について

こんにちは。HRプラス社会保険労務士法人の森田です。
今回は妊娠・出産に関する労働法の概要についてお話したいと思います。

現在わが国では妊娠・出産に関し、妊娠中及び産後1年以内の女性(妊産婦)を使用するに当たり、労働基準法(労基法)及び男女雇用機会均等法(均等法)により、母体保護に関する規制が設けられています。

■妊婦の軽易業務への転換(労基法65条3項)
使用者は妊娠中の女性労働者が請求した場合、他の軽易な業務に転換させなければなりません。この規定は他の軽易な業務がない場合に、新たに軽易な業務を設けてまで与えることを求めていませんが、請求があった場合は拒否することはできません。現在携わる業務の中で重労働となっている部分や業務量を減らすなどの方法があります。

■ 妊産婦の坑内業務・危険有害業務の就業制限(労基法64条2、3)
使用者は妊娠中の女性労働者及びを坑内(トンネル内の建設現場など)で行われる業務に従事しない旨を申し出た産後1年を経過しない女性労働者を、坑内で行われるすべての業務に就かせることを禁止しており、就業が制限されています。また重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務その他妊産婦の妊娠、出産、哺育等に有害な一定の業務についても禁止しています。

■ 妊産婦の母体健康管理に必要な措置(均等法第12条、13条)
使用者は妊産婦から請求があった時は、保健指導、健康診査を受けるために必要な時間を確保できるようにしなければならず、主治医等が健康診査等を受けることを指示したときは、必要な時間を与えなければなりません。また、保健指導または健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするため、妊産婦への必要な措置を講じなければなりません。

・必要な時間とは・・・
⑴ 健康診査の受診時間
⑵ 保健指導を受けている時間
⑶ 医療機関等での待ち時間
⑷ 医療機関等への往復時間

・必要な措置とは・・・
⑴ 妊娠中の通勤緩和(時差出勤、勤務時間短縮、交通手段・通勤経路変更など)
⑵ 妊娠中の休憩に関する措置(休憩時間の延長、休憩回数の増加、休憩時間帯の変更)
⑶ 妊娠中または産後の症状等に対応する措置(作業の制限、勤務時間短縮、休業等)

■ 労働時間の制限(労基法66条1項)
使用者は妊産婦が請求した場合、時間外・休日労働・深夜業をさせることを禁止されています。また変形労働時間制(フレックスタイム制を除く)の適用についても制限され、1日8時間・1週40時間を超えて働かせることができません。フレックスタイム制では出退勤時間を本人の意思で決定できるため、制限の適用は受けません。

■妊娠を理由とする解雇の禁止
妊娠中と産後1年間の解雇については、使用者が、解雇理由が妊娠等ではないということを証明しない限り、解雇は原則無効とされます。

これまで労働基準法では女性保護の観点から女性労働者に対し時間外労働や深夜労働などを禁止してきましたが、男女が均等に働く機会を得ることができるようにするため、法改正により制限が廃止されました。その代わりに女性の働く権利や妊娠中および出産後の健康の確保ができるように母性保護の側面を強化しているのが上記の様々な規制によってわかります。
働く女性が母性を尊重されつつ、その能力を十分に発揮できる雇用環境を整備するなど、企業の雇用管理の強化がますます求められています。

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