コラム

コラム 詳細

2019年08月15日 (木)コラム

これは業務災害?判断に迷う災害のご紹介①

こんにちは。HRプラス社会保険労務士法人の九内です。今回は、業務災害と認められるか判断に迷う災害についてご紹介いたします。

災害が業務上と認められるためには、業務遂行性と業務起因性が認められる必要があります。ひとつひとつ確認していくことになります。

■作業中に私病により転倒

「作業中」ということは、労働者の担当業務を行っている最中に起きているので、特別な事情がない限り業務遂行性があると考えられます。問題となるのは、私病により転倒が業務起因性が認められるかどうかです。業務外の判断は、負傷の際の他の諸事情を考慮して判断されますが、負傷の間接的原因が私病であっても業務起因性がただちに否定されるわけではなく、作業場に資材などが散乱していて、貧血等の私病で転倒した場合など、その負傷に事業所の施設が介在している場合は、業務災害と認められる可能性が高いでしょう。

■終業直後の転倒

休憩時間や終業時間後は業務から解放されているのが通常ですからそれらの時間における労働者個々の行動は私的行為と認められないことになります。しかし業務時間とそれらの時間がかけ離れていない場合、以下のように解釈します。

・事業施設内における業務に就くための出勤または業務を終えた後の退勤で「業務」と接続しているものは、業務行為そのものではないが、業務に通常付随する準備後始末行為と認められる。

・当該災害が労働者の積極的な私的行為または恣意行為によるものは認められない。

・当該災害は、通常発生し得るような災害であることからみて事業主の支配下に伴う危険が現実化した災害であると認められる可能性が高い。

なお、積極的な私的行為または恣意行為の例としては、階段を3段ごとに飛び跳ねて駆け下りることなどです。業務時間とそれらの時間がかけ離れている例としては、終業時間後、会社内で相当時間を私用で過ごした場合などです。

■昼休み事業場外から戻る途中での負傷

業務遂行性は、事業場の施設内において休憩している限り、事業主の支配下を離れていないため業務遂行性が認められます。休憩時間は拘束時間中であっても労働者の自由に利用できる時間であることから、一般的な休憩中の行為は私的行為とみなされ原則として業務起因性が認められないこととなります。例外的に認められる場合は以下の場合となります。

・休憩中、事業場施設内で発生する災害で事業場施設の不備・欠陥に起因することが証明される場合

・用便、飲水などの生理的必要行為や作業と関連のある各種の必要行為。業務付随行為よるものとして業務起因性が認められます。

■担当業務外の行為による負傷

担当業務外の災害については、その行為が業務行為に含まれるかどうかで判断されることになります。当該行為が合理性または必要性をもつものか、業務と関連する突発的事情によって臨機応変に行われる緊急行為としてその必要性があるものかで判断されます。また取り立てて必要性ないものの通常ありがちなささいな行為でも特に恣意的行為ではない限り、おおむね業務行為に付随する行為と判断されます。直接の担当業務でなくても急ぎの仕事で手伝ってほしいと言われて、手伝うことは社会通念上ごく自然な行為であれば必要・合理的行為として業務上の災害と認められる可能性が高いでしょう。業務上の災害と認められた例は、事務作業担当者が倉庫作業していた際の負傷などが挙げられます。

■おわりに

いかがだったでしょうか。判断に迷うケースはたくさんあると思います。具体的には実際に災害が起きた際に労働基準監督署が個別事情に応じて判断していきますが、業務遂行性、業務起因性があるかという視点からある程度、業務災害かどうかの判断をしていけると良いでしょう。次回も引き続き判断に迷災害の例をもう少しご紹介していきたいと思います。

ページトップへ戻る