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2019年08月29日 (木)コラム

年金について③ ~給付制度~

こんにちは。HRプラス社会保険労務士法人の中臺です。前回は番外編でしたが、これまでの2回で、年金とはどういったものか概要的な部分を解説してきました。第3回となる今回はより具体的に解説していきたいと思います。

◆年金はややこしい!?

一般的に“年金制度”は複雑なものと思われがちです。

それは、年金の名称・受給年齢・金額、が人によって異なることが大きな原因です。

しかし、実のところ年金制度はそこまで複雑ではありません。これから解説していく3つの基準によって分けられているにすぎず、1つずつ順番に読み解けば制度自体は分かりやすいものとなっています。

 

◆1つ目の基準:制度(法律)

現在年金を受給している人の通知書を見ると、「新法」、「旧法」という文字を見かけます。

昭和61年4月に年金制度の大改正がありました。改正内容は多岐にわたりますが、身近なところだと改正前は、年金手帳がオレンジの厚生年金手帳と、青の国民年金手帳に分かれていたのが、青の年金手帳に統合されました。

この改正前に“受給権”が発生している年金を「旧法」、それ以降に“受給権”が発生している年金を「新法」と呼びます。

なお上記2つの制度とは別の制度で「福祉年金」というのもあります。

これは、日本に年金制度が導入された昭和36年時点からすべての月年金を支払ったとしても受給に必要な年数に足りない人に対して、年金を払わなくても受給することができる年金制度です。現在日本中で貰っている人数は83人だそうです。

 

◆2つ目の基準:支給事由

第二条 国民年金は、前条の目的を達成するため、国民の老齢、障害又は死亡に関して必要な給付を行うものとする。

 

国民年金法2条の条文です。厚生年金も第1条で同様の規程があります。

そして法律にもある通り、年金の支給事由は原則老齢、障害、死亡の3要件だけです。

例外はただ1つだけ、国民年金の脱退一時金というものがあります。しかしこれは日本国民を対象にするものではありませんので、唯一の例外となります。

それでは、実際の年金が上記3要件のどれにあたるのか代表的なものを解説してみましょう。

 

老齢:老齢基礎年金、老齢厚生年金、特別支給の老齢厚生年金、付加年金、経過的加算

障害;障害基礎年金、障害厚生年金、障害手当金

死亡;遺族基礎年金、遺族厚生年金、寡婦年金、中高齢寡婦加算、経過的寡婦加算、死亡一時金

 

老齢:厚生年金は、2号被保険者として今まで支払ってきた保険料に応じて支給される年金、基礎年金は保険料を納めた月数に応じて定額で支給されるものです。

特別支給、経過的加算については③で解説します。

付加年金とは将来支給される老齢基礎年金額を増やしたい時に、1号被保険者として保険料を支払う際毎月400円付加保険料を支払うことで、月200円老齢基礎年金の支給金額に上乗せされる年金です。

 

障害:障害年金は障害の状態に応じた等級が定められており、重い順から1級、2級、3級、3級に満たない障害となっています。

厚生年金は1級~3級、基礎年金は1級~2級、障害手当金は3級にならない障害の人を対象にします。

 

死亡:遺族基礎年金の要件を満たす場合は遺族基礎年金が、要件を満たさない場合は死亡一時金が支給される場合があります。また寡婦年金については65歳以上の妻が対象となり、遺族基礎年金と同時に受給することはできません。

そのため、50歳で遺族基礎年金を受給していた妻が受給要件を満たさなくなり遺族基礎年金を受給しなくなり、60歳に達した際に一定要件を満たしていれば寡婦年金が受給できます。

中高齢寡婦加算は一定の要件を満たした配偶者に遺族厚生年金に上乗せして支給される年金です。

経過的寡婦加算は遺族厚生年金の受給者が自身の老齢基礎年金の受給権を取得した場合、今まで受給していた中高齢寡婦加算の金額が自身の老齢基礎年金に上乗せされる制度です。

※それに加えて各年金には、配偶者や子がいることによって金額が増加する加給年金があります。

 

◆3つ目の基準:支給年齢

原則支給年齢は65歳です。

ただし、生年月日に応じて年金の支給が早くなる「特別支給の老齢厚生年金」というものがあります。(例として、昭和35年4月2日生まれの女性は、62歳から報酬比例部分のみ受給できます)

また、支給年齢をずらす方法として、繰り上げ、繰り下げの制度があります。

繰り上げは60歳から実際に受給が開始されるまでの間に申請をすることで、前倒しした月×0.5%分将来受給できる年金額が減少しますが、その分早い時期から受給することができます。

繰り下げは受給権が発生した月を過ぎ1年以上たった後に年金の裁定請求をすることで、過ぎた月×0.5%分将来貰うことのできる年金額が増加します。

 

文字だと分かりづらいので数字で解説します。

令和1年9月15日に65歳になり、老齢基礎年金を受給できる受給権者

老齢基礎年金満額受給(平成28年は780,100円、令和3年も同様とする)

 

【繰り上げ】

平成28年9月に繰り上げ請求をした場合

24か月×0.5=12%

780,100円×12%=93,612円

780,100円-93,612円=686,488円

【繰り下げ】

令和3年9月に繰り上げ請求をした場合

24か月×0.7=16.8%

780,100円×16.8%=131,057円

780,100円+131,057円=817,545円

 

◆最後に

ここまで年金給付の制度について解説してきました。

しかしこれで自信が受給できる年金が分かるかと言えばそうではありません。

なぜなら、その人のこれまでの人生のどの部分が今まで解説してきた年金制度に関わるのかという判断がまた複雑です。

そのため、自身で判断をせずまず年金事務所に相談に行くことが大切です。

特に59歳の誕生日前後に年金特別便が届いたら電話やインターネットで年金相談の予約を行い、1度年金事務所に相談しに行くことをお勧めします

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