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2020年06月12日 (金)コラム

中小企業の時間外労働の上限規制について

こんにちは、HRプラス社会保険労務士法人の早津です。
今後労働時間に関するコラムを担当しますのでよろしくお願い致します。
今回は、既にこの4月から適用になっている中小企業の時間外労働の上限規制についてご説明します。

■中小企業に対する時間外労働の上限規制について
この時間外労働の上限規制は、働き方改革の一環として、長時間労働を是正して労働者が心身の健康を維持し、ワークライフバランスを保ち働けるようにすることを目的とするものです。大企業では既に2019年4月から義務化されている「時間外労働の上限規制」ですが、2020年4月1日より一部の例外を除き全ての中小企業に適用されています。

■改正ポイント
①時間外労働の上限規制が法律に格上げされ、罰則付きとなる。
②時間外労働の上限は、月45時間、年360時間を原則とする。“臨時的な特別の事情”がなければ、これを超えることができない。
③臨時的な特別の事情がある場合でも、下記の上限を超えてはならない。
(上限①)年720時間以下(休日労働含まず)
(上限②)月100時間未満(休日労働含む)
(上限③)2~6ヵ月平均がいずれも80時間以下(休日労働含まず)
④上限規制の法制化に伴い、36協定届が「特別条項なし」「特別条項付き」の2つに分かれている。
⑤労働時間の実務においては、日々の労働時間のみならず、時間外労働・休日労働の累積時間、2~6ヵ月の平均時間外労働時間、特別条項の発動回数(上限年6回)などを管理する体制の整備が必須

■改正ポイントの解説
上記②でいう「臨時的な特別の事情」とは、一時的・突発的に業務量が増える状況等により上限時間を超えて労働させる必要がる場合をいうものであり、具体的にどのような場合を“臨時的な特別の事情”として協定するかは、「労使当事者が事業又は業務の態様等に即して自主的に協議し、可能な限り具体的に定める必要がる」とされています。また、上限規制の適用前は、特別条項付き36協定を締結していれば、通算6カ月まで残業時間に制限なく労働者を働かせることができましたが、上限規制の適用後は、特別条項付き36協定を締結している場合でも、残業の上限が定められており、上記③の全ての上限を遵守しなければならなくなりました。もし、上限を守らずに働かせた場合、使用者には6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられます。今回の法改正では、このように罰則を設けて上限規制の実効性を高めることも目的とされています。

■健康福祉確保措置
限度時間を超えて労働させる労働者の健康・福祉を確保しなければなりません。限度時間を超えて労働させる労働者の健康・福祉を確保するための措置について、以下の中から選択し協定届に明記し、実際に超えた場合はその措置を取ることに留意ください。
① 医師による面接指導
②深夜業の回数制限
③終業から始業までの休息時間の確保(勤務間インターバル)
④代償休日・特別な休暇の付与
⑤健康診断
⑥年次有給休暇の連続取得
⑦心とからだの相談窓口の設置
⑧必要な場合の配置転換
⑨必要に応じた産業医等の助言・指導や保健指導

■最後に
2020年4月以降は、一部の例外を除き、どんなに人手不足でも、業務に支障が出ようとも、社員に上限以上の残業をさせることができなくなりました。これを受けて、時間外労働を削減する為に業務効率の改善や労務管理の見直しを行わなければならない企業もある思います。また健康福祉確保措置では、労使当事者が自主的に協議を行い、労働時間において社員の心身の健康を確保するなかで、企業としても利益を生み出し続ける体制の整備が求められることになります。生産性を向上させる仕組みのひとつとして、自社に相応しい人事制度を構築し、モチベーションを高め、その成長を促進して高い社員満足度に支えられた競争力の高い組織を実現することによって、社員が短い労働時間で成果を上げることができる組織作りが必要になります。

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