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2020年07月07日 (火)コラム

副業・兼業の基礎②

HRプラス社会保険労務士法人の菅谷詩歩です。前回に引き続き、副業・兼業についてお伝えいたします。今回は厚生労働省の労働政策審議会の各分科会において、現在進行中の議題についてお知らせいたします。

■現行の制度と今後の在り方・見直しの方向性

(1)労災保険の給付

現行の労災保険制度は労働基準法における個別の事業主の災害補償責任を担保するものであるため、それぞれの事業場での負荷を判断して労災認定しています。(同一事業主に雇用されている場合は合算して評価)そのため、A・Bの2社で働いている場合、A社では15万円/月、B社では5万円/月の働き方をしており、仮にB社にて労災が発生したときは5万円のみが算定基礎として補償されることになります。その期間にA,B両社で働けないほどの負傷、疾病等を受けたときは生活が困窮する可能性があるということになります。

また近年増えていている脳・心臓疾患及び精神障害の労災認定においても、原則として、事業場ごとに業務起因性(業務上の不可と災害との相当因果関係)の判断をおこなっています。

⇒副業・兼業の場合の労災補償の在り方について、現在、労働政策審議会での検討が進められています。見直しの方向性としては、休業補償給付等について、非災害発生事業場の賃金額も合算して給付額を決定する方向です。今年度も引き続き、細かい部分の協議が進む予定です。

■第86回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会資料  2020年5月20日実施

https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000631961.pdf

 

(2)労働安全衛生法に基づく健康確保措置

現行でも定期健康診断や長時間労働者に対する面接指導・ストレスチェックなど労働安全衛生法では様々な健康確保措置を事業主に義務付けています。副業・兼業を行うことにより、労働時間が増えることは容易に想像できるため、自社だけでなく副業先も含めた複数就業者の健康管理についても議論が始まっています。

⇒健康確保措置については、近年の状況が把握できていないことから、副業・兼業の許可等の状況とあわせて2020年2月にヒアリング調査が実施されました。(2020年6月10日の分科会にて資料公開)今後、調査結果を基に議論が進む予想です。

■第130回労働政策審議会安全衛生分科会(資料) 2020年6月10日実施

https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000638936.pdf

 

(3)労働時間管理について

現行の労働基準法では、『労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。』とされています。また、厚生労働省のモデル就業規則やガイドラインによると、『副業・兼業を行う場合は、事前に、会社に所定の届出を行うもの』とされ、就労時間の把握は労働者からの自己申告によるとしています。

⇒労働時間管理については、一昨年から検討会→労働政策審議会へと議論の場が続いてきました。現在は現行の取扱いを整理して労働時間の申告等や通算管理における労使双方の手続き上の負担を軽減し、法に定める最低労働条件が遵守されやすくなる簡便な労働時間管理の方法(管理モデル)を議論している段階です。

■第161回労働政策審議会労働条件分科会(資料)2020年6月25日実施

https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000642972.pdf

 

コロナの影響で、働き方が大きく変わってきて在宅勤務制度や時差出勤制度等を導入された会社が多くなりました。今後、副業・兼業についても国の方針やモデルが定まってくると導入する会社が増えると予想されます。引き続き動向をチェックしていきたいと思います。

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