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2020年08月13日 (木)コラム

フレックスタイム制の拡充について

こんにちは、HRプラス社会保険労務士法人の早津です。

2019年4月から「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が順次施行されていますが、今日は、そのなかのひとつ、フレックスタイム制の拡充についてご紹介いたします。

◇概要

フレックスタイム制は、労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることによって、仕事と生活との調和を図りながら効率的に働くことができる制度です。2019年4月の法改正によって、労働時間の調整を行うことのできる期間(清算期間)が延長され、これによりさらに柔軟な働き方の選択が可能となりました。

◇フレックスタイム制とは

例えば、所定労働時間が1日8時間で週40時間である場合、1日8時間若しくは週40時間を超える労働時間は通常であれば時間外労働となりますが、他方フレックスタイム制の場合、就業日の労働時間は労働者の裁量に委ねられており、法定労働時間の1日8時間、週40時間を超えて労働しても即座に時間外労働とみなされるのではなく、清算期間を通じて決められた法定労働時間を超えた時間が時間外労働としてカウントされます。

これにより、

・今日は8時に出社、16時に退社して7時間労働する

・明日は9時に出社、19時に退社して9時間労働する など

子育てや介護を行う家庭、趣味や資格取得、自己啓発といった私生活のニーズと仕事を両立させる「ワーク・ライフ・バランス」を図るという狙いがフレックスタイム制にあり、業務効率化や生産性の向上が期待されています。

◇法改正の内容

2019年4月の労働基準法の改正により、清算期間が従来の1ヵ月から3ヵ月に延長されました。これまでのフレックスタイム制では、1ヵ月以内の清算期間のなかで始業および終業を労働者の裁量で決めるといった調整が可能でしたが、清算期間が3ヵ月に延長されたことに伴い労働時間をより長い期間で調整できるようになりました。例えば、小学生を子育てする家庭ならば、夏休みの7月から8月にかけては早く帰宅して、その分9月は長く働くといった運用も考えられます。労働者それぞれの事情に応じより柔軟で多様な働き方を実現することができるようになりました。

◇改正ポイント

①清算期間が1ヵ月を超える場合は労使協定の届出が義務付けられました

従来のフレックスタイム制(清算期間が1ヵ月以内)を導入する際は、労使協定の届出は不要でしたが、清算期間が1ヵ月を超える場合には、労使協定を労働基準監督署に届出る必要があります。これに違反すると「6カ月以内の懲役または30万円以下の罰金」が科せられることがあります。

◇時間外労働の考え方が変わりました

従来、清算期間が1ヵ月であった場合は、清算期間を通じて決められて法定労働時間を超えて労働した時間について割増賃金を支払う必要がありました。しかし、2019年4月の法改正により、割増賃金の支払いに関する考え方が以下のとおり変わりました。

・1ヵ月ごとに週平均50時間を超えた労働時間を時間外労働としてカウントする

・清算期間を通じて、法定労働時間の総枠を超えて労働した時間を時間外労働としてカウントする。

◇時間外労働の上限規制が適用されます

労働基準法の改正により、時間が労働の上限規制が設けられたことは、前回の私のコラムでもご紹介していますが、フレックスタイム制を導入したとしてもこの上限規制は遵守する必要があります。その確認方法は次のとおりで、月45時間を超える時間外労働の回数が年間で6回を超えていないか確認してみてください。

・3ヵ月間で週平均の労働時間が50時間を超えた月がひと月あり、その時間が45時間超であった=「1回」

・清算期間(3ヵ月)を通じて法定労働時間の総枠を超えて労働した時間が45時間を超えていた=「1回」

※この場合、当該清算期間(3ヵ月)で月45時間を超えた回数は、「2回」とカウントされます。

◇最後に

フレックスタイム制の拡充については、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」のひとつとして、2019年4月より既に施行されていますが、子育てや介護を行っている家庭や、生活のニーズと仕事を両立させ、労働者それぞれの事情に応じより柔軟で多様な働き方を実現することが可能で、かつ業務の効率化や生産性の向上に資することができる制度です。使用者と労働者の双方にメリットをもたらす注目すべき制度であることから、あらためてご紹介させていただきました。

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