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2020年09月03日 (木)コラム

新型コロナウイルスに関する就業制限について

こんにちは。HRプラス社会保険労務士法人の須永です。

新型コロナウイルスの感染拡大により一時は発令された緊急事態宣言が終わり、日常生活が戻ってきているこの頃ですが、まだ新型コロナウイルスの感染は治まらない状況が続いております。

今回は、従業員に新型コロナウイルス感染者または感染の疑いのある方(濃厚接触者等)が発生した場合の就業禁止について、お伝えします。

○労働安全衛生法に基づく就業禁止

労働安全衛生法第68条 および 労働安全衛生規則第61条に、病者の就業禁止として、下記のいずれかに該当する者については、産業医その他専門の医師の意見を聞き、就業を禁止しなければならない旨が定められています。

①病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかった者

②心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく憎悪するおそれのあるものにかかった者

③前各号に準ずる疾病で厚生労働大臣が定めるものにかかった者

 

この規定の「病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病」については、感染症予防法に下記の疾病等が規定されています。

■一類感染症 エボラ出血熱/ペスト など

■二類感染症 結核/ジフテリア/鳥インフルエンザ など

■三類感染症 コレラ/細菌性赤痢 など

■新型インフルエンザ等感染症

 

それでは、新型コロナウイルスは上記の感染症に入るのでしょうか?

 

○新型コロナウイルスの位置づけ

令和2年2月1日施行にて、新型コロナウイルスは政令により、感染症法上の「指定感染症」に指定されました。

 

※指定感染症: 既に知られている感染性の疾病であって、感染法上の規程の全部又は一部を準用しなければ、当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるものとして政令で定めるもの

 

これにより、新型コロナウイルスは労働安全衛生法上の就業禁止の対象となる「病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病」には当たらず、「指定感染症」として感染症法に基づく都道府県知事からの就業制限が課されることとなっています。

 

○新型コロナウイルスに感染した従業員に対する賃金や休業手当の支払いについて

業務外の事由により新型コロナウイルスに感染し、都道府県知事が行う就業制限により従業員が休業する場合は、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。

休業中については、要件を満たせば、健康保険から傷病手当金が支給されます。具体的には、療養のために労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、直近12カ月の平均の標準報酬日額の3分の2について、傷病手当金により補償されることとなります。

 

これに対し、業務遂行中に感染した場合は、業務上の災害として、休業補償を行う必要が出てきます。

 

○新型コロナウイルスに感染した疑いのある従業員に対する賃金や休業手当の支払いについて

ご家族の感染等により濃厚接触者となった / 発熱等の症状があり、感染が疑われる 等の場合、従業員が自主的に年次有給休暇等を使用してお休みする場合は、休業手当の支払いの対象とはなりません。

 

但し、会社側から、感染予防のために使用者の自主的な判断で休業させる場合は、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。

 

○まとめ

新型コロナウイルスの社内感染を防止するためには、適切な就業制限も必要となります。

コロナウイルス感染者が増えるに従い、従業員の中に濃厚接触者や感染者が出てくる可能性も出てきました。濃厚接触者・感染者が出た場合、どのように就業制限を行っていくか、考えておくと共に、社内での感染予防対策も重要となります。厚生労働省が出している下記チェックリスト等を参考に、職場の感染拡大防止について、衛生委員会等で話し合っておきましょう。

 

参考) 職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト

https://www.mhlw.go.jp/content/000657665.pdf

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