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2020年10月03日 (土)コラム

外国人労働者の社会保険

こんにちは。HRプラス社会保険労務士法人の木村です。
これまで2回にわたり外国人雇用の現状と在留資格、特定技能等について紹介してまいりました。今回は外国人労働者の社会保険について実務的観点からお話させていただきたいと思います。

1. 外国人労働者の健康保険と厚生年金

健康保険・厚生年金への加入基準は外国人労働者であっても基本的に日本人労働者と同様です。外国人労働者が働いている事業所が適用事業所であれば、使用者は外国人労働者を健康保険および厚生年金保険に加入させる義務があります。保険料が掛け捨てになってしまうという誤解から厚生年金への加入をためらう外国人労働者も多いようですが、健康保険とセットで加入しなければならない点を説明する必要があります。
加入基準を満たしていた場合資格取得届を提出しますが、この際マイナンバーと基年金番号が結びついていない方、番号制度の対象外である方については、資格取得届と併せて「ローマ字氏名届」の提出が必要になります。

2. 社会保障協定を結んでいる国から来ている場合

海外において被用者として就労する人が日本に派遣される場合、派遣元国の社会保障制度に加え、日本の社会保障制度に二重に加入しなければなりません。このような二重加入防止の観点から日本と諸外国との間に社会保障協定が次々と結ばれており、現在発行準備中の国も含めるとその相手国は23か国に及びます。
社会保障協定が結ばれている場合、二重に社会保険料を払わなくて済むよう原則就労する国の社会保障制度のみに加入することになりますので、日本で働く場合には日本の社会保障制度に加入することになります。ですが、5年を超えない見込みで派遣される場合には、協定の例外規定が適用され引続き派遣元国の社会保障制度のみに加入し日本での加入が免除されます。
相手国により年金制度のみ協定を結んでいるケース、健康保険と年金の両方が協定対象となっているケースがあります。年金制度だけが協定に含まれている場合には健康保険だけ日本で加入することになりますので確認が必要です。
ただし、この協定が適用されるのは協定相手国の事業所から派遣される場合に限られますので、日本での現地採用の場合は日本の社会保障制度が適用されることになります。また、日本の社会保障制度への加入が免除されるためには、協定相手国の社会保障制度に加入していることを証明する「適用証明書」の交付を協定相手国の実施機関から受ける必要があります。

3.短期在留外国人に対する脱退一時金

資格喪失の手続きも日本人労働者の場合と変わりはありません。ですが、日本国籍を有しない人が厚生年金保険の被保険者資格を喪失し日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に脱退一時金を請求することができます。

支給要件:
• 厚生年金保険・共済組合等の加入期間の合計が6月以上あること
• 日本国籍を有しない方であること
• 老齢厚生年金などの年金の受給権を満たしていないこと

外国人労働者が退社しそのまま帰国する場合などには、脱退一時金という制度があることや、日本に住所を有しないという要件を満たすためにも市区町村への転出届を忘れずに提出していくことなどを説明してあげるとよいでしょう。

しかしこの脱退一時金の支給を受けた場合、その期間は社会保障協定において年金加入期間として通算できなくなりますので、協定によって「年金加入期間の通算」が可能となっている相手国の人については、将来通算により年金として受給するか、脱退一時金を受け取るかを十分見極めることが必要です。
*社会保障協定における「年金加入期間の通算」とは、日本と相手国との年金加入期間を相互に通算し年金受給権を獲得できることとするものです。

~最後に~
人手不足の日本において外国人労働者の果たす役割はとても大きなものになっています。社会保険についても日本人労働者と同じように手続きが必要となりますのでご確認いただければと思います。

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