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2020年11月02日 (月)コラム

労働時間の適正な把握について

こんにちは、HRプラス社会保険労務士法人の早津です。

今日は労働時間の適正な把握についてご紹介いたします。

 

◇そもそも労働時間とは何か

労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下にある時間をいい、必ずしも実際に作業に従事していることは要しません。したがって、会議が始まるまでの待機時間や途切れた資材の到着を待って作業の手を止めている場合など、実際には何もしていなくてもその場を離れることができない場合、これらの時間(一般に「手待時間」といいます。)は労働時間ということになります。つまり、実作業に従事していない時間でも、労働からの解放が保障されていなければ、労働基準法上の労働時間となります。

 

◇労働時間制の判断基準

≪社内研修≫

労働者が使用者の実施する研修に参加することについて、就業規則上の制裁等の不利益な取り扱による出席の強制がなく、自由参加のもと行われるものは労働時間に該当しません。

 

≪健康診断≫

労働者に対して行われる一般健康診断は、業務遂行との関連において行われるものではないので、その受診に要した時間は当然には使用者の負担すべきものではありませんが、労働者の健康の確保は事業の円滑な運営に不可欠な条件であることを考えると、一般健康診断に要した時間も労働時間として取り扱うことが望ましいと言えます。

 

≪出張時の移動時間≫

出張中の 移動時間については、労働拘束性の程度が低く、物品の監視等別段の指示がある場合のほかは労働時間として取り扱う必要はないとされています。

 

◇労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置

使用者は、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し適正に記録する必要があります。

(1)原則的な方法

①使用者が、自ら現認することにより確認すること

②タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として

確認し、適正に記録すること

 

(2)やむを得ず自己申告制で労働時間を把握する場合

①自己申告を行う労働者や、労働時間を管理する者に対しても自己申告制の適正な運用等

について十分な説明を行うこと

②自己申告により把握した労働時間と、入退場記録やパソコンの使用時間等から把握した

在社時間との間に著しい乖離がある場合には実態調査を実施し、所要の労働時間の補正

をすること

③使用者は労働者が自己申告できる時間数の上限を設ける等適正な自己申告を阻害する措

置を設けてはならないこと。さらに36協定の延長することができる時間数を超えて労働

しているにもかかわらず、記録上これを守っているようにすることが、労働者等におい

て慣習的に行われていないか確認すること

 

また、賃金台帳の適正な調製を行う必要もあります。使用者は、労働基準法108条に基づき、労働者ごとに労働日数、労働時間数、休日労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数といった事項を適正に記入しなければならないこととなっています。

 

◇まとめ

社会的に大きな波紋を呼んだ大手広告代理店による過労死自殺事件を受け、政府は2016年12月26日に「過労死等ゼロ緊急対策」を発出し、翌2017年1月20日に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を策定しました。それ以降、企業には労働時間を正確に管理し、法律で定められた労働時間のなかで従業員が安心して働ける労働環境の整備が一層強く求められるようになりました。自社の置かれている状況に応じた労働時間の適切な管理を行うことができているのか、労務管理の手法について見直してみてはいかがでしょうか。

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