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2020年11月05日 (木)コラム

副業と兼業の促進に関するガイドラインとは?

こんにちは、HRプラス社会保険労務士法人の星野陽子です。

さて、大手航空会社が副業で他社との雇用契約を認めるというニュースが報じられたように、副業・兼業を認める流れが加速しています。
では、みなさんの会社においても、副業・兼業を認めるべきなのでしょうか。

■副業・兼業の促進に関するガイドライン
副業・兼業に関しては、厚生労働省により『副業・兼業の促進に関するガイドライン』が示されています。このガイドラインは、2018年1月に作成されたもので、2020年9月には、副業・兼業のルールをより明確にするため、改定されています。
今回は、このガイドラインにそって、副業・兼業を認める必要があるのか、考えていきましょう。

■裁判所はどう考えているか
裁判例では、副業・兼業について、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であるというスタンスがとられており、各企業において副業・兼業を制限することが許されるのは、例えば、
① 労務提供上の支障がある場合
② 業務上の秘密が漏洩する場合
③ 競業により自社の利益が害される場合
④ 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
に該当する場合とされています。

■ガイドラインではどう考えられているか
ガイドラインによれば、「裁判例を踏まえれば、原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当である。副業・兼業を禁止、一律許可制にしている企業は、副業・兼業が自社での業務に支障をもたらすものかどうかを今一度精査したうえで、そのような事情がなければ、労働時間以外の時間については、労働者の希望に応じて、原則、副業・兼業を認める方向で検討することが求められる」とされており、副業・兼業を拡大するよう求めています。

■副業・兼業の留意点
しかしながら、実際に副業・兼業を進めるに当たっては、以下のような留意すべき点があるのです。
① 労働時間の管理
労働基準法第 38 条第1項では「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」と定められており、この「事業場を異にする場合」とは事業主を異にする場合をも含む(労働基準局長通達(昭和23 年5月 14 日付 基発第 769 号))とされています。
つまり、自社の労働時間と副業・兼業先での労働時間を通算して管理する必要があるのです。

では、副業・兼業先での労働時間は、どのように把握すればよいのでしょうか。
これは、労働者からの申告等によって把握するということになるのですが、副業・兼業の日数が多い場合や、自社においても副業・兼業先においても所定外労働がある場合などは、労働時間の申告等や通算管理が非常に繁雑になります。

そこで、厚生労働省はガイドラインにおいて、「管理モデル」という方法を示しています。
管理モデルは、自社および副業・兼業先のそれぞれの労働時間の上限を設定し、各々の使用者がそれぞれその範囲内で労働させる、というものなのですが、この管理モデルを採用した場合には、後から労働契約を締結した使用者(一般的には副業・兼業先)は、所定労働時間についても、所定外労働時間についても、割増賃金を支払う必要がありますので、管理モデルの採用を拒むケースも発生することが想像できます。

なお、労働基準法が適用されない場合(独立・起業など)や、労働基準法は適用されるが労働時間規制が適用されない場合(管理監督者など)には、労働時間の通算は要しません。

② 秘密保持義務、競業避止義務の確保
自社の労働者が業務上の秘密を副業・兼業先で漏洩してしまう場合や、副業・兼業先の業務上の秘密を自社で漏洩されてしまう場合など、秘密保持義務に関する問題が生じてしまうことも懸念されます。
また、副業・兼業により、競業避止義務違反が生ずる可能性もあるでしょう。
就業規則等において、業務上の秘密が漏洩する場合には、副業・兼業を禁止または制限することができるようにとしておくこと、競業により自社の正当な利益を害する場合には、副業・兼業を禁止又は制限することができることとしておくこと等の対策が必要となりますが、実際に秘密が漏洩してしまった場合や、競業により正当な利益を害された場合の損害は計り知れません。

いかがでしたか。
従来のように、一律に副業・兼業を禁止することは、難しくなってきました。ガイドラインを参考に、副業・兼業のメリット、デメリットを十分に検討し、副業・兼業の扱いについて、ぜひ、改めて議論してみてください

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