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2021年01月12日 (火)コラム

法定労働時間と所定労働時間の違いについて

こんにちは、HRプラス社会保険労務士法人の早津です。

今日は法定労働時間と所定労働時間の違いについてご紹介いたします。

◇法定労働時間とは

労働基準法32条では、使用者は労働者に、休憩時間を除いて1週間について40時間(特例措置対象事業場は44時間)を超えて、また、1週間の各日については8時間を超えて労働させてはならないと定められています。つまり、「これ以上働かせてはいけません」と法律で制限されている労働時間を、一般的に「法定労働時間」といいます。

この法定労働時間の規制に違反して労働者に労働させた使用者には、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金という刑事罰による制裁があり、労働者とこうした規制に違反する合意をした場合でも、その合意は無効となり、無効となった部分は上記の基準のとおりに修正されます。

たとえば、就業規則等において、使用者が労働者との間に1日9時間労働として契約した場合でも、労働基準法32条に抵触するため、その契約は無効となり、8時間労働に是正されることになります。

◇所定労働時間とは

一方で「所定労働時間」は、法定労働時間の範囲内で会社が就業規則等で独自に決めることができる労働時間をいいます。たとえば、就業規則において就業時刻を午前9時から午後5時まで(休憩1時間を除く)、と定めている会社の場合、所定労働時間は7時間ということになって、法定労働時間の8時間とは必ずしも一致しません。

また、この会社の労働日数が1週5日だった場合、1週35時間労働となり、やはり1週40時間と定めた法定労働時間より5時間も差が生じることになります。

◇法定労働時間を超えると割増賃金が必要

法定労働時間と所定労働時間の相違点が如実に表れるのは、時間外労働の割増賃金です。時間外労働として25%以上の割増賃金を支払わなければならないのは、あくまでも法定労働時間を超えた時間となるため、所定労働時間が7時間である会社の場合、法定労働時間の8時間に至るまでの時間、あるいは1週40時間に至るまでの時間については割増賃金の支払いは必要なく、その時間に応じた通常の労働時間の1時間あたりの賃金を支払えば差し支えありません。これを一般的に「法内残業」と呼んでいます。

◇所定労働時間の明確化

労働基準法15条1項においては、絶対的明示事項として「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と定められています。また、労働基準法89条1項では、絶対的必要記載事項として「始業・就業の時刻、休憩時間、休日、休暇等」について、就業規則への記載が義務付けられています。労働時間に関する労使トラブルを避けるためにも、労働基準法106条に基づく就業規則の周知を徹底するほか、採用時には、所定労働時間について使用者と労働者の双方が内容を確認した上で、雇用契約書を締結するのが望ましいといえます。

◇まとめ

法定労働時間と所定労働時間の違いについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか。法定労働時間と所定労働時間の定義を知らなかったために、会社と従業員で認識が合わずにトラブルが起きることもありえます。会社は労働時間を正確に管理し、法律で定められた労働時間のなかで従業員が安心して働ける環境作りを行うことが求められています。労使双方が良好な関係を築き納得して働いてもらうためにも、それぞれの意味をしっかりと把握する必要があるといえるでしょう。

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