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2021年04月22日 (木)コラム

「カスハラ」について

こんにちは。HRプラス社会保険労務士法人の大谷です。

前回(2月18日)のコラム「ハラスメントシリーズ」では、「オワハラ」(就職活動終われハラスメント)を取り上げましたが、今回は「カスハラ」(カスタマーハラスメント)についてご説明いたします。

◆カスハラとは

「カスハラ」という言葉は耳にされた方も多いのではないでしょうか?カスハラは顧客や取引先からの著しい迷惑行為のことをいい、具体例としては、以下のようなものがあげられます。

・従業員に対して「バカ」「ブス」「死ね」などの暴言を吐く

・金品を不当に要求する

・土下座を強要する

・胸倉をつかんだり、物を投げるなど暴行を加える

・ネットに書き込むと言って脅す

・電話で長時間拘束する

つまり、「悪質なクレーム」として以前から存在していたものですが、「ハラスメント」と結びついてここ数年で注目を浴びてきました。わが国では「顧客第一主義」つまり「おもてなし」を美徳とする文化が根強く、顧客・取引先に対して手厚いサービスを提供することを良しとしている反面、それが消費者の権利意識を高めて、期待にそえない場合に不満から怒りの感情となり、カスハラが発生することが多いと言われています。

カスハラは法律上の定義はありません。しかしながら、行為自体の度が過ぎれば、刑法の暴行罪や侮辱罪など犯罪に該当することもあります。

一方、軽微な行為でも繰り返し受ければ、ストレスから心身の健康を害してしまうことにつながる可能性もあります。カスハラへの対策を放置し、従業員のメンタルヘルスに悪影響を及ぼす状況が続けば、休職・離職が増加するおそれがあります。その結果、人材の流出が進み、事業が行き詰まる事態にもつながりかねません。また、企業がカスハラを放置して何も対策を取らなければ、安全配慮義務違反を理由に、従業員から損害賠償請求をされてしまうことも考えられます。企業としてはリスク管理としてその対策を講じる必要があるのです。

◆事業主がカスハラに関し行うことが望ましい取組

前述のとおりカスハラについて定めた法律はありません。ただし、昨年1月15日に発出された厚生労働省の指針(令和2年厚生労働告示第5号)で、カスハラに言及し「他の事業主の雇用する労働者等からのパワーハラスメントや 顧客等からの著しい迷惑行為に関し行うことが望ましい取組の内容」を以下のとおり明示しています。

(雇用管理上の配慮として行うことが望ましい取組の例)

・相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

・被害者への配慮のための取組(メンタルヘルス不調への相談対応、行為者に対して 1人で対応させない等)

・被害防止のための取組(マニュアル作成や研修の実施等、業種・業態等の状況に応 じた取組)

 

ただ、内容が抽象的で具体性に乏しいため、厚生労働省では今年度中に企業向けに対応マニュアルを策定することとしており、今後の動きを注視しておきたいところです。

 

ちなみに「労働政策研究・研修機構」が行った調査(「職場のパワーハラスメントに関するヒアリング調査結果(2019年6月)」)では、

顧客や取引先からの著しい迷惑行為への対応として

①顧客や取引先から迷惑行為を受けたことを組織的に把握する体制

・社員が1人で抱え込まないようにし、まずは上司に相談し、組織的に情報を集約する

・現場では顧客等の言われるままになり混乱する可能性もあることから、お客様相談窓口等で対応を一本化する

②顧客や取引先からの著しい迷惑行為の防止

・電話対応の場合には非通知の入電を受けない

・企業のお客様対応マニュアルや業界としてのルールを決める

などの具体例が記載されており、参考にされると良いと思います。

以下のリンク先です。

資料シリーズNo.216『職場のパワーハラスメントに関するヒアリング調査結果』|労働政策研究・研修機構(JILPT)

◆最後に

パワハラの法制化からまもなく1年が経ちます。中小企業では努力義務ではありますが、ハラスメントの規定化やハラスメント研修の実施など防止措置を進めている先も多くお見受けします。来年4月1日、努力義務から義務になります。まだなかなか手が回らない企業でも早めの対応をお勧めします。

引き続きこちらのコラムではハラスメントのトピックなテーマを取り上げてまいりますのでよろしくお願いいたします。

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