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2021年08月31日 (火)コラム

知ってて安心!労災保険 ③仕事中の怪我はすべて労災?その2

こんにちは、HRプラス社会保険労務士法人の太田です。

前回のコラムでは、労災の認定には2つのポイントがあるとお話しました。
1つ目の「業務遂行性」とは、会社の指示に基づいて仕事をしている状態にあったかが判断基準となります。
ただし、この「業務遂行性」を満たしていれば全ての事故が労災となるわけではありません。
そこで重要になるのが労災認定の2つ目のポイント、「業務起因性」です。

■業務起因性とは
業務起因性とは、わかりやすく言えば「業務と傷病等の間に一定の因果関係があるか」です。
例えば元から持病のあった人が仕事中に突然発作を起こした場合、
それは偶然仕事中に発生したものであり、業務との間に因果関係があるとは認められません。
労災を判断するにあたってはまず「業務遂行性」があることが前提となります。
その上で「業務起因性」の有無を検討するにあたり、状況に応じて以下のように判断されます。

■事業主の支配・管理下にあり、業務に従事していた場合
労働者が業務時間中に、事業場内で仕事をしているケースです。
事務所の棚から荷物が落ちてきて怪我をした場合などが該当し、原則として広く業務起因性が認められます。
この状況で業務起因性が認められないのは、私的行為、業務逸脱行為、規律違反行為、天災事変、
外部の力に基づく場合などです。
例えば仕事中に発生した地震による怪我では、事業主の支配・管理下にあるか否かに関係なく等しく
その危険があるといえ、業務起因性は認められません。
ただし業務の性質や作業環境等を勘案し災害を被りやすい事情がある場合には業務起因性が認められることがあります。
例えば崖下を運行するバスの運転手が地震による落石で負傷し、労災と認められたケースがあります。

■事業主の支配・管理下にあり、業務に従事していない場合
昼休みや始業前、終業後などに事業場内にいるケースが該当します。
休憩中の行動は私的行為であり、原則として業務起因性は認められません。
しかし事故の原因が職場の施設や設備、管理にある場合には、業務起因性が認められます。
これに該当するのは濡れた通路で滑って怪我をした場合や、終業後に階段で転倒した場合などです。

■事業場外での労働や出張中の場合
出張中や業務命令による外出など、事業場外で仕事をしているケースが該当します。
ここでは事業主の直接的な支配・管理下になくとも業務を遂行する義務を負って行動しているため、
一般的には出発してから戻るまでの過程全般が業務と捉えられます。
したがって通常は私的行為とされる食事や入浴、睡眠なども基本的には業務起因性が認められます。
例えば入浴時に足を滑らせて骨折した場合などは、出張中の出来事であれば業務起因性があるといえます。
ただし、通常必要とは言えない積極的な私的行為による事故などは例外です。
例えば業務を中断して知人に会いに行き、そこで事故にあった場合などは業務遂行性が認められません。

今回は労災認定のポイント2つ目、「業務起因性」についてお話しました。

ここまでは主に仕事中に発生する事故について取り上げて来ましたが、
通勤中に起きた事故についても、条件を満たせば労災として認められます。

次回は「通勤災害」について、その定義や認定基準をお話していきます。

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