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2021年12月07日 (火)コラム

知ってて安心!労災保険④ 通勤途中の怪我は労災になる?

こんにちは、HRプラス社会保険労務士法人の太田です。

前回のコラムでは、仕事中に発生した怪我や病気(業務災害)について解説しました。労災保険では、仕事中に発生した業務災害のみでなく、通勤途中に発生した事故(通勤災害)も補償の対象となります。例えば通勤途中に駅で転倒してけがをした場合には、労災保険を申請することができます。

通勤途中の事故が労災保険の対象となるためには、以下の要件を満たす必要があります。

①就業に関する、以下のいずれかの移動であること。

(1)住居と就業の場所との間の往復

(2)就業の場所から他の就業の場所への移動

(3)住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動

②合理的な経路及び方法により行うこと

③業務の性質を有するものでないこと

 

今回は、①の要件について詳しく説明していきます。

 

■「就業に関する」とは

労災保険における通勤は、業務と密接な関係を持つものである必要があります。

つまり、業務に就くため、または業務を終えたあとの移動であることが前提となります。ただし、直行直帰しなけれ労災保険の対象とならないわけではありません。日常生活に必要な買い物程度であれば、その買い物を終えた帰り道も引き続き業務との関連性が維持されていると認められます。ただし、終業後に友人と食事をした後の帰り道など、日常生活に必要な行動とはいえないものによる時間の乖離がある場合には、業務との関連性は失われていると考えられます。この点については次回、詳しくご説明します。

 

■住居と就業の場所との間の往復とは

ここでの「住居」とは、労働者が就業するための拠点とする場所を指します。必ずしも普段居住する自宅のみを指すとは限らず、例えば悪天候などによりやむを得ずホテルに宿泊した場合には、そこが「住居」とみなされます。

また「就業の場所」とは、業務を開始し、または終了する場所を指します。普段勤務する事業場はもちろんのこと、営業等で外出した場合には、そこが「就業の場所」となります。

なお、普段勤務する事業場から営業先への移動の場合には「業務を開始し終了する場所」にあたりませんので、この過程で事故が発生した場合には業務災害として労災保険の請求手続きを行います。

 

■就業の場所から他の就業の場所への移動とは

この項目は、複数の異なる事業場で働く労働者を想定しています。

例えばA社での勤務を終えた後にB社へ向かう途中で事故が発生した場合、この移動はB社に労務を提供するためのものであると捉えられるため、B社での事故として取り扱われます。

 

■住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動とは

この項目は単身赴任など、赴任先の住居と帰省先の住居がある労働者を想定しています。転勤に伴い帰省先住居(転勤前の住居)からの通勤が困難になり転居した労働者が対象で、具体的には以下の2つの要件が満たされる必要があります。

(1)赴任先の就業場所と転勤前の住居との距離が60km以上ある場合、もしくは60km未満の場合でも移動方法や移動時間を考慮し通勤が困難であると考えられること

(2)子の通学や配偶者の仕事、家族の介護など、やむを得ない理由で家族と別居していること

 

例えば赴任先での業務を終えた後、一度赴任先の住居に戻って荷物を取ってから家族が住む帰省先に向かう場合、この赴任先から帰省先への移動も通勤と認められます。また、当日中の移動でなくても、前日もしくは翌日に行われた移動であれば業務との関連性は失われません。したがって、休日を帰省先で過ごした後、日曜日のうちに赴任先に移動し、月曜日から出勤するようなケースでも、帰省先から赴任先への移動は通勤と認められます。

 

以上、通勤災害の要件①について詳しくご説明しました。

次回は②以降の要件についてお話していきます。

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